CT を、動かして学ぶ
X線CT の原理を、インタラクティブなシミュレーションで学ぶ教材です。減弱と線積分から始めて、サイノグラム、逆投影、FBP、コーンビーム、産業用 CT、逐次近似、線量と画質、アーチファクト、深層学習まで、CT を一通り体験します。後半では、同じ再構成の数学が MRI・核医学(PET/SPECT)でどう姿を変えるか、さらにトモシンセシス・光音響・電子線トモグラフィといった CT を超える断層技術まで扱います。
- 数式とシミュレーションを併記
- 計算はブラウザ内で完結(Web Worker + WebGPU)
- 日本語と英語に対応
対象として想定しているのは、断層イメージングの原理を数式と直感の両面から理解したい学生、診療放射線技師、エンジニアです。前提とする数学は積分と三角関数程度で、必要な概念は各章で順に導入します。
各章は、短い解説と数式のあとにインタラクティブなシミュレーションが続く構成です。読むだけで済ませず、スライダーやボタンを実際に動かして、パラメータが投影や再構成像にどう効くかを手で確かめてください。第1章から順に読むのがおすすめですが、興味のある章から始めてもかまいません。
目次
CT編
医用から産業用まで、CT の原理と再構成
第1章X線と減弱
1 本のレイを動かしながら、Beer–Lambert の法則と「投影」の意味をつかむ。
第2章順投影とサイノグラム
Radon 変換を通して、物体が測定データ(サイノグラム)に写る仕組みを見る。
第3章単純逆投影
測定値を塗り戻すだけの再構成がなぜ 1/r のボケを生むのかを確かめる。
第4章フィルタ補正逆投影
中心断面定理からランプフィルタを導き、標準手法 FBP に到達する。
第5章ファンビームとヘリカルCT
扇状ビームの幾何学と再構成に加え、臨床CTのヘリカルスキャンとpitchを扱う。
第6章コーンビームとFDK
3 次元再構成の FDK 法をブラウザで実行し、コーンアーチファクトを観察する。
第7章産業用CT
被写体を回して拡大する。幾何拡大と焦点サイズが分解能を決め、非破壊検査と寸法測定に効く。
第8章逐次近似再構成
ART・SIRT・MLEM/OSEM。方程式を反復で解く再構成と低線量 CT。
第9章線量と画質
ノイズはどこから来るか。σ∝1/√線量の実測、CTDI・DLP、MTF と NPS によるフィルタの定量比較。
第10章スパースビュー再構成
投影を 1/8 に間引いても像は戻るか。圧縮センシングの考え方と TV 正則化(ASD-POCS)をライブで比較する。
第11章アーチファクトとその低減
ビームハードニング・金属・リング・モーション・散乱線。原因と対策をシミュレーションで確かめる。
第12章深層学習・AIによるCT画像改善
ミニCNNをブラウザ内で学習させ、低線量ノイズ除去と汎化の限界を体験する。
第13章スペクトラルCTとフォトンカウンティング
エネルギーは情報である。デュアルエナジーの物質分解と仮想単色画像をライブで試し、PCCT と再構成研究の最前線(拡散モデル・INR)を概観する。
第14章プレイグラウンド
全章の要素を組み合わせて、2 つの再構成パイプラインを比べる実験場。
MRI編
磁気共鳴による断層撮像
核医学編
放射トモグラフィ(PET/SPECT)
発展編
限定角度と、CT を超えるトモグラフィ